- 電流引外し方式
- 電圧引外し方式
- 不足電圧引外し方式
過電流継電器による遮断器の引外し方式は2種類あります。
- 電流引外し方式
- 電圧引外し方式
さらに電圧引外し方式には、3パターンの遮断器引外し方式があります。
- 直流(DC)制御電源をそのまま使用する
- コンデンサ引外し装置を使用する
- 不足電圧引外しコイルを併用する
電流引き外し方式
この方式は、遮断器(VCB)の引外しコイルを、変流器(CT)の二次側から得られる電流で動作させる仕組みです。パネル取付形の手動ばね操作で一般的に使用されています。
負荷電流そのものを引外し動作の電源として利用するため、操作用電源に異常があっても遮断器を開放することが可能です。構成としては、過電流継電器と遮断器の組み合わせで構成され、電圧引き外し方式と比べて使用する機器が少ないため、コストが抑えられるという利点があります。
ただし、以下のようなデメリットも存在します:
- 引外し回路は交流(AC)電源を使うため、投入の位相やプランジャー(可動鉄心)の動きによってコイルのインピーダンスが変化し、動作電流や時間にばらつきが出ることがあります。
- 保護継電器の試験時に、誤って引外しコイルに長時間電流を流してしまうと、コイルが過熱して焼損する可能性があります。通電可能時間はメーカー取説を確認して下さい。
- 引外しコイルに電流が流れると開放動作が実行されるため、誤って電流を印加すると、意図しない遮断(誤動作)につながる恐れもあります。
電流引き外しの配線


電圧引外し方式
遮断器の電圧引き外し方式におけるトリップコイルは、直流(DC)電源専用となります。操作電源が交流電圧の場合はコンデンサ引き外し電源装置(CTD)を別途設置する必要があります。
また、電源の異常を考慮し不足電圧引外しを組み合わせる場合もあります。
直流電源を使用することで、遮断器の引外し動作が安定し、過電流保護の信頼性が向上します。また、引外しコイルに事故電流が直接流れることがないため、試験時にコイルを焼損させるリスクがありません。
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 電流引外し方式と異なり、専用の電源装置が必要となるため、設備コストが高くなります。
- 電圧仕様を誤って試験を行った場合、装置を損傷する可能性があります。
DC制御電源の場合の配線


AC制御電源(コンデンサ引外し方式)の場合の配線


電圧引外し方式+不足電圧引外し方式
電圧引き外し方式では、外部又はコンデンサから引外しの電源を共有されるため、電源側に異常があった場合に遮断器を電動で開放することができないリスクがあります。
そこで、不足電圧引外し装置を設け、不足電圧引外しコイル(UVC)への印加電圧が20%~60%に低下したとき、遮断器を 引外す装置です。
※三菱電機の保護継電器取扱説明書では、無電圧引外し装置と記載されている場合があります。
UVCのみを使用して回路を構成する場合もあれば、トリップコイルと組み合わせて回路を構成することもできます。
電圧引外し方式+不足電圧引外し方式の配線



参考リンク
https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/members/document/manual/vcbvmc/jnec-si-0725/si0725m.pdf
https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/members/document/manual/pror/jep0-il2121/moc-a3_j.pdf
https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/document/catalog/vcbvmc/k-k06-5-c7085/K-K06-5-C7085-O.pdf
https://fa-faq.mitsubishielectric.co.jp/faq/show/13096?site_domain=default